エアードライヤーの日常点検と管理方法について知りたい方へ
工場でエアードライヤーを使用していて、異常停止してしまった。エアーコンプレッサーと違って定期メンテナンスを行なっていないです。日頃の管理方法や日常点検を知りたい。また、点検時の注意点も知りたい。と考えていませんか?
本記事では、下記の内容を解説します。(2021年7月28日更新)
私はコンプレッサーの修理屋の大西たけしです。福岡県を拠点に日々修理やメンテナンス、オーバーホールをしています。
- 1. そもそもエアードライヤー(冷凍式)には、どんな役割があるのか!?
- 2. エアードライヤーを設置していないと、エアーにどんな不具合を生じさせますか?
- 3. エアードライヤーは定期メンテナンスを行なっていないのですが、問題ありませんか?
- 4. 7.5kW以上の冷媒機器の場合は、十分な知見を有する者の点検が必要です。
- 4.1.1. 管理者に求められる点検
- 4.1.2. 漏えいが確認された場合
- 5. フロン排出抑制法をご存知ですか?
- 6. 自分たちでも定期的に行えるメンテナンス作業はありませんか?
- 7. ガスゲージ内の針がグリーン帯(緑色)を示しているか確認ください。
- 8. ドレントラップからドレン水が排出されているか確認ください。
- 9. Youtubeにてエアードライヤーの日常点検と管理方法についてご説明いたします。
- 10. エアードライヤーの選び方や選定方法について
- 11. まとめ
そもそもエアードライヤー(冷凍式)には、どんな役割があるのか!?
エアードライヤーはエアーコンプレッサーで作られた圧縮空気の水分を除去して乾燥した空気を作る機械です。冷媒ガスを循環させて、熱交換器部で圧縮空気を冷却し、ドレン水を除去します。冷蔵庫やエアコンと同じ原理です。
エアードライヤーを設置していないと、エアーにどんな不具合を生じさせますか?
エアーコンプレッサーのみで工場エアーを稼働させた場合、エアー内のドレン水を除去することは出来ません。そのため、エアー使用機器内にドレン水を混入することで、機器内に錆を発生させたり、機器の故障を引き起こす原因に繋がります。製造不良や塗装不良などの問題も発生させます。特に梅雨から夏場など、じめじめとした時期はドレン水が発生しやすい期間ですので、注意が必要です。
エアードライヤーは定期メンテナンスを行なっていないのですが、問題ありませんか?
エアーコンプレッサーと違って、定期的な部品の交換は必要ありませんが、第一種特定製品の場合は、3ヶ月に1回以上、エアードライヤーの点検を実地する必要があります。実地者は具体的な限定はありませんが、以下の内容をご確認ください。
点検内容
・エアードライヤーを設置している場所の外気温
・エアードライヤーからの異音、製品外観(配管含む)の損傷、腐食、錆、油のにじみ並びに熱交換器の霜付き等の冷媒ガスとして充填されているフロン類の漏洩の微候の有無
環境省URL:https://www.env.go.jp/earth/furon/operator/isshu_2.html
7.5kW以上の冷媒機器の場合は、十分な知見を有する者の点検が必要です。
7.5kW以上の冷凍冷蔵機器、50kW以上の空調機器は、1年に1回以上の点検が必要です。7.5〜50kW未満の空調機器は3年に1回以上の点検が必要です。いづれも十分な知見を有する者の点検が法律によって義務付けられています。
点検内容
・簡易点検に加えて、定期的に直接法や間接法による専門的な冷媒ガス漏洩検査を実地。
管理者に求められる点検
全ての管理者は、日常的な温度点検や外観検査等<簡易定期点検>を、「一定規模以上の業務用機器」については専門家による冷媒漏えい検査<定期点検>を行う必要があります。
漏えいが確認された場合
漏えいが確認された場合は、可能な限り速やかに冷媒の漏えい箇所を特定し、充塡回収業者に充塡を依頼する前に、漏えい防止のための修理等を義務づけており修理を行うまでは原則として冷媒の充塡が禁止されています。
出典:環境省 フロン排出抑制法ポータルサイト(当該ページのURL):https://bit.ly/3f5y9Ml
フロン排出抑制法をご存知ですか?
フロン類の使用の合理化及び管理の適正化に関する法律(フロン排出抑制法)は、フロン類の製造から廃棄までライフサイクル全般に対して包括的な対策を実施するため、フロン回収・破壊法を改正し、平成27年4月に施行された法律です。
出典:経済産業省ホームページ(当該ページのURL):https://bit.ly/2TIihb8
自分たちでも定期的に行えるメンテナンス作業はありませんか?
空冷式エアードライヤーの場合、定期的にコンデンサーにエアーブロー清掃を行ってください。
フィンはアルミ製ですので、曲げないようにエアーブローを行う際の風量に注意が必要です。
特に暑い夏場など、コンデンサーが埃などで目詰まりを起こすとフロンガスが冷却されずにエアードライヤーを異常停止させる原因に繋がります。設置の周囲温度も高温になると同様に、エアードライヤーを異常停止させてしまう原因になりますので、換気も気をつけてください。
ガスゲージ内の針がグリーン帯(緑色)を示しているか確認ください。
ゲージ内の針がグリーン(緑色)帯に入っているかをご確認ください。露点温度 “0〜10℃” が目安です。グリーン帯に針が入っている場合でもゲージの不良など故障している場合もありますが、先ずは目視の確認が大切です。
ドレントラップからドレン水が排出されているか確認ください。
正常にエアードライヤーが稼働している場合は、ドレントラップからドレン水が排出されます。オート式のドレントラップの場合は、ドレン水が溜まった時にドレン水が排出されるのか確認ください。目視でOKです。
エアーの漏れっ放しやドレンが溜まっているのに排出されない場合は、ドレントラップ交換が必要です。
Youtubeにてエアードライヤーの日常点検と管理方法についてご説明いたします。
エアードライヤーの選び方や選定方法について
まとめ
エアードライヤーの日常点検と管理方法について記載しました。工場内で安心して乾燥したエアーを使用するためにはエアードライヤーの稼働は重要です。ガスゲージの確認、ドレントラップからドレン水の排出の有無など目視で行えますし、コンデンサー清掃などもお客様自身で取り組める作業のひとつです。
特に梅雨から夏にかけての期間はドライヤーの点検を大切にされてください。
この記事を通じて少しでもお役に立てたら幸いです。
文責:有限会社大西エアーサービス 大西健
大西健
この記事を書いた人
大西エアーサービスのウェブサイト制作・運用担当。2007年よりコンプレッサ修理屋として働いています。以前の職種は洋服のパタンナーアシスタント。世界中の美術館を巡ることが趣味のひとつです。お客様の想いに耳を傾けながら、生産現場が止まらないように、コンプレッサー運用のお手伝いをしています。“迅速”かつ“丁寧”がモットーです。
コンプレッサ修理屋「大西健」の挨拶文はこちら→https://www.onishi-air.jp/office/
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