※2020年11月27日記事を修正しました。
エアーコンプレッサーのオイル交換時にオイルの買い方や選び方について知りたい方へ
工場やご自宅でエアーコンプレッサーを使用していて、そろそろオイル交換が必要な時期だと思いました。純正オイルを使用すれば間違いないと考えますが、使用している他のコンプレッサーのオイルと比較したところ、オイルには種類や金額に差があることを知りました。複数のオイルの銘柄を管理するのも大変です。よい機会ですので、オイルの勉強をしたい。また、純正品以外を使用できるのかも併せて知りたい。買い方や選び方。また、選ぶ際の注意点も知りたい。と考えていませんか?
本記事では、下記の内容を解説します。
私はコンプレッサーの修理屋の大西たけしです。福岡県を拠点に日々修理やメンテナンス、オーバーホールを行っています。
- 1. そもそもコンプレッサーオイルに種類ってあるの?どんな種類がありますか?
- 2. 純正油を推奨する理由はありますか?
- 3. スレッジとは何か?
- 4. 会社の都合などで、止むを得ずオイル銘柄の指示を受けました。違ったオイルを使用しても大丈夫でしょうか?
- 5. 他銘柄のオイルを使用するにあたり、フラッシングを行えば問題ないのでは?
- 6. どこでコンプレッサーオイルを購入すればよいですか?
- 7. オイルフリーのスクリューコンプレッサーを使用しています。業者から届いた見積書の中にオイルの項目がありました。無給油式でもオイルを使用するものですか?
- 8. オイル交換後の廃油の処理についてアドバイスをお願いします。
- 9. まとめ
そもそもコンプレッサーオイルに種類ってあるの?どんな種類がありますか?
オイル選びの基本は、合成油か鉱物油。そして粘度に注意して選ぶ必要があります。エアーコンプレッサーにはレシプロタイプ(往復動)とスクリュー式タイプがあり、それぞれに潤滑油の種類が違います。
レシプロコンプレッサーでは#68の鉱物油 、スクリューコンプレッサーでは#32の粘度のオイルを使用し、現状合成油を使用している機械が殆どです。機種によっては、鉱物油を使用している場合もあります。出来る限り純正油を使用されることを推奨します。
純正油を推奨する理由はありますか?
ホームセンターさんなどでもコンプレッサーオイルの販売を行われていますが、レシプロコンプレッサーで使用するオイルは純正油とリッター数百円の差しかありません。純正オイルと違ってスラッジやカーボンの発生率も異なるため、コンプレッサーを長く使用していただくたにもメーカー純正のオイルを推奨しています。そしてお客様より、よく尋ねられることがあります。スクリューコンプレッサーのオイル銘柄についてです。昨今のエアーコンプレッサーでは合成油を使用されている場合が多くとても高価です。鉱物油と比べてオイル交換のサイクルも長くなることや、劣化し難いため機械にとって優しいことが最大のメリットです。オイル交換は通常1年または2年に1度です。エアーコンプレッサーを長く使用いただくためにも弊社では純正油を推奨します。理由としては、スレッジの問題があるからです。
スレッジとは何か?
圧縮機本体の熱や空気中のゴミが原因で、オイルのカス(カーボン)が発生します。
カーボンやオイルと混ざったコンプレッサーオイルのことを総称してスラッジ(カーボンスラッジ)と言います。エアーコンプレッサー内に溜まるヘドロのことです。
オイル交換時に取り除くことが出来なかったスラッジが溜まると圧縮機本体の性能を低下させたり、吐出温度上昇を招いたりします。
会社の都合などで、止むを得ずオイル銘柄の指示を受けました。違ったオイルを使用しても大丈夫でしょうか?
潤滑油にとって一番良くないことは、異なった銘柄のオイルと混ぜることです。少しでも他のオイル銘柄が混ざってしまうとオイルがアメーバ状にドロドロに、コールタールのようになります。そのことが原因で、圧縮機本体のスクリュー機本体をロックさせてしまう場合もあります。俗にいう、「焼付き」と呼ばれるものです。
他銘柄のオイルを使用するにあたり、フラッシングを行えば問題ないのでは?
仮にフラッシングを行った場合でも完全にオイルを入れ替える為には、ラジエーターや補機部品に入っている油を抜かなければ安心して他銘柄へオイルを変更することは出来ませんので、他銘柄へ変更するための費用対効果やオイル交換に伴う作業の手間からも、決して経済的ではないと言えます。
勿論、プロが行えば多少の安心は買えると思いますが、手間とコストを勘案した場合には、今一度、純正オイルのご使用を検討すべきだと考えます。 勿論、圧縮機がロックした場合でも修理は可能です。しかし通常のオーバーホールに比べ圧縮機本体を分解する作業やベアリングの交換、コールタールの除去など手間と時間を必要とする為、日数も費用も割増となります。純正品が費用的に高い事も、コンプレッサー修理屋として十分に理解しています。他銘柄へ変更されたいという、お気持ちもよく分かりますが、劣化を含めて将来的なことを考えると、フラッシングで他銘柄へのオイル変更をされることは今一度考えられた方がよいかもしれません。
どこでコンプレッサーオイルを購入すればよいですか?
一番は、購入先や現在メンテナンスを依頼されている業者、馴染みの商社さんから購入されてみてはいかがでしょうか?ご使用のエアーコンプレッサーの状態や状況を把握されていると思いますし、銘柄を間違えることも少ないと考えるからです。万が一のトラブルの際にも協力的に動いてくれると感じます。 購入先が分からない場合は、エアーコンプレッサーに使用されている銘柄の確認をお願いします。または中古機で購入して使用されているオイルが不明な場合は、全量のオイルを抜いた上で、純正オイルを使用されてください。弊社でもヤフーショッピングサイトから販売を行っていますし、アマゾンさんや楽天ショップでも売られています。
コンプレッサ修理屋のヤフーショッピングページはこちら、https://store.shopping.yahoo.co.jp/onishi-air/
オイルフリーのスクリューコンプレッサーを使用しています。業者から届いた見積書の中にオイルの項目がありました。無給油式でもオイルを使用するものですか?
オイルフリーという表現で勘違いをする場合もあると思います。無給油式では、圧縮空気内に油分を含まないということを表現しています、実際にはオイルフリースクリュー機では構造上、作動油としてのオイルが使われています。圧縮機内にはオイルが混じりませんのでご安心ください。メンテナンス際はオイルの交換が必要です。
オイル交換後の廃油の処理についてアドバイスをお願いします。
コンプレッサー修理屋では交換後の廃油は、専門業者へ回収をお願いしています。工場で働かれている方なら伝わると思います。余談ですが、以前は買取りをされていた業者も居たようです。また、弊社では廃油ストーブの燃料として、集めていた時期もありました。困るのは個人でコンプレッサーを使用されている方ですよね、気軽に捨てられないと不安になるかと思います。処分方法について4点ほど考えてみました。
1 ガソリンスタンドで引き取ってもらう
2 カー用品販売店で引き取ってもらう
3 自治体でゴミとして処分
4 廃油回収専門業者に依頼
手軽な方法だと、ガソリンスタンドさんへ相談されると処分を行ってくれる場合もあるそうです。カー用品店でも同様です。ホームセンターやカー用品店などで販売されている廃油処理箱を探されてみてもよいかもしれません。オイル交換後の廃油処分も責任をもって行うことがスマートだと思います。
まとめ
コンプレッサーのオイル交換の際は、修理屋として純正オイルの使用をお勧めいたします。オイルが起因して起こる故障やトラブルを考えると、安心や安全にコンプレッサーを運用していただくことが大切だと考えるからです。また、近年のスクリューコンプレッサーは合成油を使用している場合が多く、オイル交換の頻度も以前と比べて少なくなりました。
オイル交換時には、合わせてオイルフィルタの交換も推奨します。
疑問や質問などありましたら、気兼ねなくメッセージをください。
文責:有限会社大西エアーサービス 大西健
大西健
この記事を書いた人
大西エアーサービスのウェブサイト制作・運用担当。2007年よりコンプレッサ修理屋として働いています。以前の職種は洋服のパタンナーアシスタント。世界中の美術館を巡ることが趣味のひとつです。お客様の想いに耳を傾けながら、生産現場が止まらないように、コンプレッサー運用のお手伝いをしています。“迅速”かつ“丁寧”がモットーです。
コンプレッサ修理屋「大西健」の挨拶文はこちら→https://www.onishi-air.jp/office/
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