2021年7月21日更新
エアーコンプレッサーの選定方法や購入についての疑問やお悩み
エアーコンプレッサーは、工場に必要不可欠な存在です。
一般的に生産工場では、『水・電気・そしてエアー(圧縮空気)』どれか一つでも停止してしまうと、工場がストップすると言われています。水や電気についてはピンと来る方も居らっしゃると思います。エアーについても同様に生産ラインで動いている機器の多くは圧縮空気で動いていますので、『エアーコンプレッサーは重要』です。
弊社が初めて訪問するお客様の中には、コンプレッサーが問題を抱えた時に、どこの業者に修理を依頼すれば良いのか分かりません。または、購入先を忘れてしまった。など耳にすることがあります。
購入先で思いつく先は、
1.出入りの工具商さん
2.馴染の修理屋さん
3.インターネット
などです。
勿論、小型のコンプレッサーの場合であれば、近くのホームセンターなどで購入される場合もあると思います。
それぞれの購入方法についてのメリットやデメリットは、どの場合でもある思いますが、弊社コンプレッサー修理屋が一番大切に考えてほしいと思うことは、『御社の生産ラインが停止しない・させない』という観点です。先にもお話しましたが、エアーコンプレッサーがトラブルを起こすと工場が即停止という事態に繋がりかねません。
特にスクリューコンプレッサーやスクロールコンプレッサーなどのタイプの製品はメンテナンスが必要になって来ますので、機器の選定や購入先については、修理業者のことも踏まえながら検討されてください。エアーコンプレッサーの価格は10年前に比べても安くなっていますが、それでも高価なのは確かです、ご不明なことはお気軽にご連絡ください。電話:092-410-4622
コンプレッサーメーカーにもそれぞれ一長一短はありますが、大切なことは、トラブルになった場合にいち早く駆けつけてくれるか(復旧出来るか?)だと考えます。選定方法について簡単に記載すると、どのような目的でエアーを使用するのか。生産ラインではどの位の圧力と流量を必要としているのか、塗装などの場合は同時に何人で作業をするのか。騒音は日中ならOKなのか。などが挙げられます。
シンプルに考えていくと最適な1台も見つかり易くなると思います。勿論、予備機(中古機でOKです。)の設置も視野に工場が止まらないこと。工場停止のリスクを最小化させることこそ最も重要だと考えます。
エアーコンプレッサーは、「馬力 or 吐出空気量」で選ぶのですか?選定方法について
そうですよね。初めてコンプレッサーを購入される場合は、選定方法について『疑問?』が多くあると思います。
先ずは回答を先に書きたいと思います。
1.エアー使用機器の必要な吐出空気量で選定されてください。
2.次に圧力が大切になります。
大切なことは、ご使用の機器を問題なく稼働させることです。
その為にも先ずはご使用予定の機械や機器の必要空気量をお調べ下さい。機械や機器メーカーに確認されると早いと思います。必要な圧力のみを言われるケースも稀にありますが、1馬力のコンプレッサーでも、100馬力のコンプレッサーでも設定圧力が例えば0.8MPaだとするとそれ以上は空気圧力は上がりません。問題はどの位の空気量が必要かという事です。1000Lの空気タンクを満タンに溜める場合に1馬力のコンプレッサーだと10分以上必要になるのに対して、100馬力のコンプレッサーだと1分も経過しない内に充填させることが出来ます。
※ブレーカーや電気工事の話は別途検討しなければなりません。
馬力の計算方法は、KW÷0.75です。
0.75KW ~ 37KWのサイズを表に纏めましたので、参考までにご参照ください。
追記
「何馬力のコンプレッサーを選定すればよいですか?」
そのようなお問合せをいただくことがあります、先ずは使用機器の機械に「最高空気圧力」「空気消費量」の記載があると思いますので、ご確認ください。
そして空気消費量の1.5倍の余力を持たせて選定されることをお勧めします。使用機器が2台ある場合は、足して計算します。同時に稼働させない場合でも、今後の運用のことを考えて余力を持たせて選定されることを推奨します。
コンプレッサーのカタログなどで、吐出空気量という項目があります。例えば、7.5KWのレシプロ機の場合、「840L/min」です。
これは、毎分840Lの空気を吐出するという意味になります。
0.75KW | 1馬力 |
1.5KW | 2馬力 |
2.2KW | 3馬力 |
3.7KW | 5馬力 |
5.5KW | 7馬力 |
7.5KW | 10馬力 |
11KW | 15馬力 |
15KW | 20馬力 |
22KW | 30馬力 |
37KW | 50馬力 |
設定圧力の変更には、スクリュー機の場合は設定画面または圧力スイッチなどで変更が可能ですが、大きくは変更できませんので、当初にコンプレッサーの設定圧力0.7MPaでOKなのか、1.0MPaを必要とするのか、14MPaクラスの(中圧タイプ)が必要なのか調べておくことが重要になります。
先ずはご使用予定の機械や機器で必要な吐出空気量をお調べになって下さい。
機器に必要な空気量と圧力が分かりましたら、あとは足し算で工場内の必要空気量が求めることが出来ます。全ての機器が同時にフル稼働をしない可能性もありますが、簡単に説明するとそのような考え方です。
コンプレッサーの修理・相談窓口
(日曜・祝祭日は休業) 深夜・早朝の場合は、メール又はFAXをください。中古機よりも新台購入の方が実はお得なんですか?その理由について
【中古機ではなく新台購入がよい理由】について、お知らせします。
※中古機がよい場合も勿論ございます。それはエアーコンプレッサ―の更新や追加などケースバイケースになります。そうは言っても新台がよい理由!について記載します。
第一の理由として、10年前と比べて新台の価格が下落している点にあります。定価があってもないような状況です。勿論、修理やオーバーホール費用よりも新台入替えの方が高いですが、1度目のオーバーホールメンテナンスを行って後は、2度目のオーバーホールの際にコンプレッサー入替え工事の検討をされるお客様を多くお見受けします。
オーバーホールの整備内容は大まかに記載すると、圧縮機本体のベアリング交換&メーンモーターのベアリング交換&ファンモーターのオーバーホールあとはオイルやエレメント類の交換や補機関連である吸気調整弁や保圧調整弁の分解整備など、もちろんセンサー関係も消耗部品ですので、悪くなっていれば交換します。ゴムホースも劣化しますので、ボウシンゴムと合わせて交換という内容が一般的です。
そんなオーバーホールの内容でも、基盤やエアードライヤーに関しては清掃のみになりますので、整備後に基盤などが不良になった場合は、また追加で交換が必要になります。製造後10年を経過している場合に於いては、思い切って新台という選択も出てくると思います。
そこで始めのお題目に戻ります。製造後時間が経過している機器などはトラブルリスクも多く持っているケースが多いです。旧車などの自動車と同様ですので、中古機として販売する場合は、安心してご使用頂くためにもメンテナンスを行った上で販売を行わなければなりませんので、販売価格も高額になり易いです。そうすると、中古機の価格にあと数10万円足せば新台が来る場合もあります。新台には1年間のメーカー保証も付きますので、その点も安心材料でしょう。
勿論様々な意見もあると思いますので、入替えやオーバーホールの際などは意見のひとつとして受け止めていただければと思います。入替え工事や新機種の販売、勿論修理やメンテナンス、オーバーホールなどでのお悩みは、お気軽にご連絡ください。
塗装用のエアーコンプレッサー選定について
『塗装用のエアーコンプレッサー』についてです。
皆様の気になるポイントは、数点共通してお持ちだと思いますので、先ずは記載します。
Q.どの位の馬力サイズのコンプレッサーがあれば良いんだろう?
Q.エアーに油分が入ると塗装の質が下がると思うんだけど?
Q.電気代のことも聞いてみたいです。
例えば3つの疑問は、私たちコンプレッサ修理屋によく頂戴する質問です。ひとつづつ回答します。
A.馬力(KW)については、塗装を使用される人数でも誤差がありますので、一概には言えませんが、1人で塗装作業をされる場合は、3.7kWタイプの機械をお勧めします。
もちろん、1.5KWや2.2KWでも使用には全く問題ありませんが、起動と再起動を繰り返すレシプロ機の場合は、塗装の頻度(エアーを使う量)と、コンプレッサー側で圧縮エアーを作る量のバランス関係が重要になります。
1.5KWの場合だと塗装中は常にコンプレッサーのモーターが回りっぱなしの状況が想定されますし、2.2KWの場合でも起動と再起動を繰り返すことが想定され、起動時の電力は、通常の7倍の負荷が掛かりますので、3.7KWのエアーコンプレッサーでゆったりと運転稼働させる方が電力も下がる場合も多く、消耗品の痛みも減らせます。また、塗装以外でエアーツールを使った作業でしたら、1人が塗装しながら、他で必要なエアー工具などの消費量は補ってくれると思います。
将来的な観点に立って、選定をされると良いでしょう。
先の回答とも重なりますが、起動と再起動を頻繁に繰り返してしまうと、電力料は高くなる傾向がございます。それはモーターの運転時間が増える点と、再起動時の電力に影響がある為です。
最後に、塗装中に一番嫌なことは、水分です。これはエアードライヤーで除去させる方法が一番良いでしょう。この件につきましては、別の機会に記載したいと思います。
次に、エアー中に油分が混じることで、塗装の質が低下することがあります。出来れば給油タイプのものではなく、無給油式(オイルフリー機)の設置をお勧めします。給油式タイプの物は新品購入時でも、オイルリングの兼ね合いにより微量の油分がエアー中に含まれます。初期費用は高くなりますが、是非オイルフリー機の設置をご検討ください。
既に給油式のエアーコンプレッサーを塗装に使用されているお客様もいらっしゃると思います。そんな時は、ラインフィルターの設置を検討されてください。
年に1度のフィルターの交換を必要としますが、今まで以上に塗装の質は向上すると思います。
様々なケースのお客様が居ますし、違った問題もあると思います。今回は定番で尋ねられる質問を中心に書きました。塗装やエアーツールでお悩みな事など御座いましたら、お気軽にご連絡ください。
空気タンクの選定について
コンプレッサーを設置する場合に、是非とも空気タンクを合わせて据え付けていただきたく、そんな思いから書きたいと思います。
『それは何故か。』
省エネ効果があるからです。電気代を抑える事が可能です!加えて、エアーコンプレッサーのONとOFFの回数を減らすことが出来るので、電気回りのマグネットスイッチや電磁弁の消耗を抑える事も可能になります。
これは、コンプレッサーの種類(スクリュー機、スクロール機、レシプロ機)、関係なく言えることです。早いケースだと5年で空気タンクの初期費用を回収(ペイ)出来ますし、10年も使用して頂ければ、省エネ効果だけ見た場合でも十分にペイできると思います。マグネットスイッチなどの消耗品のことを考えただけでも効果は大きいです。
『どの位のサイズを設置すれば良いのですか?』
答えは、コンプレッサーの吐出空気量の20~25%を目安にされてください。長年の経験から誤差もありますが、この位の余裕を持っていた方がこれからの省エネ時代には合うと考えます。
以下は、Youtubeのコメント欄より記載をしたものを再掲載致します。
【22KWのコンプレッサーの場合】
日立産機システム社製 型式:OSP-22M6A (R)N2 を例に記載いたします。
吐出し圧力 0.7 MPa の時に
吐出し空気量 4.0 m3/min ですので、
4.0 m3/min ×25% = 1000L
凡そ 1000Lの空気タンクが目安となります。
あくまで、目安の話です。大きいサイズの方が、省エネ効果もより期待出来ますが、大き過ぎる空気タンクを設置された場合は、朝1のコンプレッサー起動時に圧力がタンク内にエアー溜まるまでに時間を要しますので、仕事が中々始められない事態になります。起動後20分は仕事にならない、なんて事は避けるべきです。
Q.1000Lのタンクが必要な場合に、既設機のエアータンクサイズが500Lだった場合はどうすれば良いですか?
答えは、2通りあると思います。
設置場所に影響がない場合は、新たに500Lの空気タンクを設置されて合計1000Lにする。
設置場所に余裕がない場合(500Lのタンクを2基設置不可能な場合)は、1000Lサイズのタンクを新たに購入して設置する。古い空気タンクも荷圧証明書など、しっかり残っていれば次に売却することも可能です。ここに記載した内容はひとつの考え方ですので、他の業者の方で別の意見をお持ちの方も居ると思います。しかし、タンクを設置するメリットについては共通の認識だと思いますので、まだ設置されていないお客様や、販売店でそういった現場をご存知の場合は、ぜひ、検討されてください。
これまでの経験を元に概算ではありますが、表を記載したいと思います。
少しでも参考になれば幸いです。
コンプレッサー出力(KW) | タンク容量(L) |
2.2~3.7 | 30~100 |
5.5~7.5 | 100~200 |
11~15 | 200~400 |
22 | 400~600 |
37 | 600~1000 |
55 | 1000~1500 |
75 | 1500~3000 |
エアーコンプレッサーの騒音と役所への届け出について
エアーコンプレッサ―を設置される際に気になること、「音」について考えてみたいと思います。
都道府県により規制の内容が異なるので注意が必要になってくるのですが、7.5KW以上の機械より届出が必要になってきます。場所によっては届け出の不要な場合もありますので、先ずは市区町村の役所へ確認されてください。
届出自体は簡単なのですが、「騒音測定器」が必要になってきますのでご準備ください。測定器はこちら、https://bit.ly/2iVAauJ
音についての単位「dB」については、身近な音と比較すると理解し易いと思いましたので、表を貼って置きます。
騒音レベル | 身近な音 |
0dB | 最小可限度 |
20dB | 置時計の秒針の音 |
30dB | ささやき声 |
40dB | 市内の深夜・図書館・静かな住宅の昼 |
50dB | 静かな事務所 |
60dB | 普通会話 |
70dB | 騒々しい事務所・電話のベル |
80dB | 電車の車内 |
90dB | 犬の鳴き声・騒々しい工場の中・カラオケ |
100dB | 電車が通るときのガード下 |
法律では7.5kW以上のコンプレッサが対象になっています。
指定地域、規制値など運用の判断が都道府県知事に委ねられているため都道府県により規制の内容が異なりますので御注意ください。工場又は事業場の敷地境界線上での騒音(振動)がその地域の規則値以下であることがもとめられます。
騒音・振動関係法令の概要:https://www.city.fukuoka.lg.jp/data/open/cnt/3/1298/1/souonshindou2807.pdf
ちなみに、福岡市の場合の提出、問い合わせ先は、
福岡市役所環境局環境保全課 中央区天神1丁目8番1号(本庁舎13階) 〒810-8620
電話 092-733-5386
FAX 092-733-5592
文責:有限会社大西エアーサービス 大西健
大西健
この記事を書いた人
大西エアーサービスのウェブサイト制作・運用担当。2007年よりコンプレッサ修理屋として働いています。以前の職種は洋服のパタンナーアシスタント。世界中の美術館を巡ることが趣味のひとつです。お客様の想いに耳を傾けながら、生産現場が止まらないように、コンプレッサー運用のお手伝いをしています。“迅速”かつ“丁寧”がモットーです。
コンプレッサ修理屋「大西健」の挨拶文はこちら→https://www.onishi-air.jp/office/
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