(2021年7月13日更新)
ドレントラップの役割や、ノーマルオープン(NO)とノーマルクローズ(NC)の違いを知りたい方へ
ドレントラップを使用していて、先日からエアーが漏れっぱなしになっているけど、このまま使用しても大丈夫なのか不安。原因が知りたい。また、部品が入手できる場合は、自分たちで交換・修理が可能かも知りたい。と考えていませんか?
本記事では、下記の内容を解説します。
私はコンプレッサーの修理屋です。福岡県を拠点に日々修理やメンテナンス、オーバーホールをしています。
・そもそもドレン、ドレン水ってなに!?
辞書でドレン(ドレーン)を引くと、雨水、雑排水、汚水などを排水するための管や溝。と記載されています。ドレンとは、排出する・排水するという意味から由来しています。
水の入ったコップに氷を入れると、コップの外側に水滴がつきます。
これはコップの周りの空気が冷やされたことで、空気中に含まれる水分が水に変化した現象です。
この現象を結露といい、水滴を結露水と言います。
エアードライヤーでは、この原理を応用していて、エアーコンプレッサーから吐出されたエアーを冷やす際に使われる熱交換器に冷やされたエアー中の水分が水滴となって付着します。
この現象を「ドレン」といい、付着した水滴を「ドレン水」と言います。
・そもそもドレントラップには、どんな役割があるのか!?
ドレントラップには、エアーコンプレッサーで大気を圧縮する過程で発生したドレン等を溜め込み、水分のみを外へ排出する機器です。給油式エアーコンプレッサーの場合は、ドレンに油分も含まれます。
・ドレン水が発生し易い季節はありますか?
エアーコンプレッサーは、大気の空気を吸ってそれを圧縮しますので、大気中に水分が多くある梅雨から夏にかけての季節は、特にドレン水が発生し易いです。
・「冷凍式ドライヤで分離する水分量」はどれくらいですか。計算方式はありますか。
コンプレッサーサイズと運転時間及び負荷率などを元にドレン発生の計算方式もあります。
【条件】 | 吸込空気 | 温度: 25℃ |
湿度: 60% | ||
使用コンプレッサ形式 | POD-11MNPB6 | |
稼働率 | 70% |
8時間/日で20日間使用すると約100L排出されます
圧縮空気の水分量の計算方法
(1) 大気の水蒸気量 大気に含まれる水分量は温度により決まります。
(2) 圧縮空気に含まれる水蒸気量(相対湿度100%の飽和水蒸気量※)大気圧換算値 気体温度の飽和水蒸気量 ÷ {(ゲージ圧力+0.1013)/0.1013}
(3) ドレン発生量計算
ドレン発生量(L/h)
=コンプレッサ吐き出し空気量(m3/min)×60×【(吸込み空気の水分量)(g/m3)-(除湿空気の水分量)(g/m3)】/1000
・ドレントラップが吹きっぱなしになる原因とは
ドレントラップも長年使用されるとゴミや埃などによって、内部のフロートが腐食しエアーが漏れっぱなし又は、エアーが流れないなどのトラブルが起こります。
また新品時からエアーが吹く場合もあります。それは、次に説明しますが、ノーマルオープン(NO)とノーマルクローズ(NC)の役割の違いです。
・ドレントラップのノーマルオープン(NO)とノーマルクローズ(NC)の違いとは
ノーマルオープン(NO)とは、無加圧時に溜まっているドレンやエアーを排出します。ノーマルクローズ(NC)は、その逆で無加圧ではエアーは排出されません。加圧時は、どちらも一定のドレンが溜まった時に、排出されます。
寒冷地の凍結対策や無加圧時でもドレンが溜まる環境などでは、ノーマルオープン(NO)がお勧めです。
吐出流量の小さいコンプレッサ(0.75kW以下)では圧が充填されない事もある為、ノーマルクローズ(NC)をお勧めします。昇圧する途中で、無加圧時にドレントラップからエアーを逃がしていたら、昇圧までに時間を要してしまうからです。
・ドレントラップは清掃や点検できますか?
カップを取外して、内部のゴミを除去するなど、可能です。消耗部品ですので、定期的に交換が必要です。
・ドレントラップ選定の注意点
実際の機器に使用している、ドレントラップの型番から探すことが、間違いを防ぎ、正しい方法だと思いますが、万が一、ドレントラップの型番が消えている場合、メーカへ問合せてみることも解決方法の1つです。そして、中古でエアードライヤーを購入したものの、ドレントラップが付いていないなど、たまに耳にします。そんな時は、以下の3点「接続口径・取付け方向・使用圧力」を、必ずご確認の上、選定されてください。
接続口径は、1/2(15A)と3/8(10A)の主に2種類があります。また、取付け方向で、縦向き横向きの2通りがありますので、選定される場合は注意が必要です。
CKD製品のDT3000、DT4000の場合だと、ご自身で、接続方向を変えられますので、とても便利です。
使用圧力1.0MPaまたは、1.4MPaに対応するものとありますので、使用圧力も必ずご確認の上、選定されてください。1.4MPa(中圧)タイプのコンプレッサに、1.0MPa仕様のドレントラップを使用されると、トラップ内部の破損に繋がりますので注意ください。
・Youtube動画
最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。
有益な情報をお伝えできるように頑張りますので、今後ともよろしくお願いいたします。
文責:有限会社大西エアーサービス 大西健
大西健
この記事を書いた人
大西エアーサービスのウェブサイト制作・運用担当。2007年よりコンプレッサ修理屋として働いています。以前の職種は洋服のパタンナーアシスタント。世界中の美術館を巡ることが趣味のひとつです。お客様の想いに耳を傾けながら、生産現場が止まらないように、コンプレッサー運用のお手伝いをしています。“迅速”かつ“丁寧”がモットーです。
コンプレッサ修理屋「大西健」の挨拶文はこちら→https://www.onishi-air.jp/office/
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