エアー配管の構築や末端でのエアー圧力低下についてお悩みの方へ
工場 “エアー配管” の末端で圧力低下が時々起こっていて困っています。エアーコンプレッサーのサイズを既設機より、1ランク大きなものへ入れ替えたら、エアー配管末端での圧力低下は解消するものでしょうか?それとも配管のレイアウトを見直すなどの作業でエアー圧力が改善されると耳にしましたが、実際はどうなんでしょうか?アドバイスがほしいです。と考えていませんか?
本記事では、下記の内容を解説します。(2021年7月29日更新)
私はコンプレッサーの修理屋の大西たけしです。福岡県を拠点に日々修理やメンテナンス、オーバーホールをしています。
そもそもエアーコンプレッサーから、エアー使用機器へ “圧縮空気” を送るためにはどんな方法があるのか!?
エアーコンプレッサーからエアー使用機器へ “圧縮空気” を送るためには、「ガス配管、ゴムホース、エアーホース」を活用することが一般的です。稀に水道管を利用してエアー配管を構築されている現場を見かけることもありますが、エアー圧力に耐え切れずに水道管接続部から破裂など引き起こしますので、水道管でのエアー配管は絶対に止めてください。
エアーコンプレッサーの圧力を確認したうえで、末端の圧力を計測してみる。
エアーコンプレッサーの圧力を確認したうえで、末端の圧力を確認されてください。アナログゲージを取付けていただければ容易に判断することも可能です。
圧力低下の原因は、エアーコンプレッサーの故障?それとも、工場側でのトラブル?その見極め方の手順ってありますか?
エアーコンプレッサの運転状況を確認してみる
エアーコンプレッサーの吐出バルブを閉じていただき、規定圧力まで昇圧していれば、エアーコンプレッサーの動作はOKです。空気タンクを設置されている場合は、昇圧時間を計測してみることも有効な手段です。
エアードライヤー内部の目詰まりの可能性は?
エアードライヤー内部の目詰まりの可能性も考えられます。エアードライヤーのINとOUTのエアー配管をバイパス工事されている場合は、バルブの開閉をされることで確認されてみてください。
エアー配管からの空気漏れ?
白ガス管でや溶接でエアー配管を構築されている場合のエアー配管からのエアー漏れの多くは、エアー配管の損傷などを除けば、エアー配管末端で使用される「カプラやゴムホース、エアーホース」からのエアー漏れを起こしている場合が多いです。ガス漏れと違い、エアー漏れは人体に影響はないため、漏れをそのままにされているケースも多いです。工場稼働中にエアー漏れを探すことは日中の環境音の中では難しいものです。始業開始前後の工場が停止した状態で、「シュー」といったエアーが漏れる音がないか探してみてください。
工事などの保守作業終了後にバルブを閉じたままにしていることもあります。バルブ・コック類が全開になっているかをご確認ください。
エアー配管の末端で圧力低下を引き起こす原因はなに?
エアー配管から空気漏れが無く、エアーコンプレッサーの正常に稼働しているにもかかわらず、エアー使用機器の圧力が低下していることはありませんか?エアー配管の圧力損失大きいことが考えらます。空気配管の圧力損失は、空気流速の2乗及び配管の長さに比例し、配管径に反比例します。簡単に記載すると、エアー配管距離が長くなると圧力損失は増え、継手類「エルボやニップル」など配管に角度が加わる度に圧力損失が生じます。
エアー配管末端の圧力を改善する方法はありますか?
4つの方法があります。
1.供給源であるエアーコンプレッサーに適した、エアー配管サイズを選定する。母管のサイズは適正ですか?
2.ブースターコンプレッサーを設置する。
3.ループ配管を構築する。
4.末端で使用するエアー器機用に、エアーコンプレッサーを設置する。
ループ配管ってなに?
工場のエアー配管を母管を一周繋げる配管のことをループ配管といいます。以下がループ配管の図です。
4つの改善方法のデメリットは?
「供給源であるエアーコンプレッサーに適した、エアー配管サイズを選定する。母管のサイズは適正か否か」についてのデメリットはありません。母管のサイズはエアーコンプレッサーの吐出量から計算することも可能です。
ブースターコンプレッサーは処理空気量の制約がありますので、選定の際はご注意ください。また運用にはメンテナンスも必要です。ループ配管を構築する最大のデメリットは配管構築費用です。工場を新設される場合は、配管構築作業も容易ですが、既存の工場で配管工事をされる場合は配管構築作業に時間を要すため費用も増大します。配管再構築に投資する金額が何年後に回収できるかを試算してみることをお勧めいたします。
末端でエアーコンプレッサーを設置される場合は、電力に加え運用メンテナンス費用も必要です。
予算も考慮に先ずは専門家の意見をきいてみる
エアー配管の設置作業費用の多くは材料コストよりも “人件費” です。末端でのエアートラブルを改善る方法は、現場それぞれに最適解もありますが、費用面を考慮したうえで提案できることもあります。まずは専門家の意見を聞いてみることも有効な手段です。
Youtube エアー配管工事や撤去作業について
まとめ
末端でのエアー圧力の低下の原因を探っていきながら、現場でエアー漏れが発生していないのか、エアー使用量の増加がないのか確認されてみてはいかがでしょうか?今は費用を掛けることが難しいので、最高な解決方法ではないかもしれないけれど、最善な解決方法を知りたい。エアー配管末端での圧力低下の解決策は色々な方法がありますので、先ずは専門家に意見を仰いでみることも有効な手段だと考えます。この記事が少しでも皆様のお役に立てるように時期を見ながら改変していきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
文責:有限会社大西エアーサービス 大西健
大西健
この記事を書いた人
大西エアーサービスのウェブサイト制作・運用担当。2007年よりコンプレッサ修理屋として働いています。以前の職種は洋服のパタンナーアシスタント。世界中の美術館を巡ることが趣味のひとつです。お客様の想いに耳を傾けながら、生産現場が止まらないように、コンプレッサー運用のお手伝いをしています。“迅速”かつ“丁寧”がモットーです。
コンプレッサ修理屋「大西健」の挨拶文はこちら→https://www.onishi-air.jp/office/
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